名古屋駅を24日の23:20発の夜行列車に乗り、東京駅に25日の5:05に到着。
ホテルのチェックインまでは時間があるので東京駅構内のロッカーに荷物を預け、さてこれからどこに行こうかと思案を始めるも、とにかく眠い!
ムーンライトながら号は夜行列車であるにも拘らず消灯せず、また近くの乗客のイビキがうるさいわで乗車中は2~3時間程しか眠ることができませんでした。
東京到着後、始発時の東京駅のゴーストタウンぶりに驚きつつ、また丸の内側に降り立ち東京駅舎を眺めるも真っ暗で何も判らず。これではどうしようもないなと途方に暮れるも束の間、そうだ昔やったのと同じ手順で行こうと思い立ち、再び改札をくぐって取り敢えず山手線の車両に乗車し仮眠をとることにしました。
ぐるぐると2周ほどしたのでしょう、目を覚ました頃には少し明るみが出てきました。空腹感も出てきたので、どうせなら関東に住んでいた頃によく利用したカフェでモーニングを食べようと思い、京浜東北線に乗り換えて埼玉県に向かいました。
かつてのホームだった蕨駅に降り立つも通勤時間帯にぶつかり、足早に駅に向かう通勤客の姿を見て、そうだ世間はまだ冬休みではなかったと当たり前のことに気付きました(笑)
蕨駅周辺をぶらぶらと散策した後、駅前で朝食をとるも眠気は取れず、これではどこに行っても集中して撮影することはできないどころかカメラを構えようという気分にすらなれないと途方に暮れた末に、最初の訪問先として決めたのが東京スカイツリーです。
ここなら撮影手法も単調なものに終始するだろうから眠気のさす状態でも撮影できると考えたのと、何よりも旅に出る直前にメゾン松原の住人で関東出身の方に勧められたことが決め手となりました。
という訳で、前置きが大変長くなりましたが”東京スカイツリー”の紹介です。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
これ程までの威圧感を感じさせる建造物は”東京タワー”以来です。
”横浜ランドマークタワー”や”あべのハルカス”といった高さ300m級の超高層ビルでは、背が高いとは感じても距離感を喪失させるまでには至りません。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
展望デッキ(展望台フロア:地上350m)内の様子。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
スカイツリーの立地から予想はしていましたが、”ビルヲタ”として高層ビル群のパノラマ風景としては物足りなさを感じます。・・と書くと東京の人には「何で?」と怒られるかもしれませんが、ずばり東京の最も賑やかな所からは距離がありすぎるのです。
また高さがありすぎることもネックで、当然のことながら周囲の建物を見下ろす形の俯瞰図としての景観しか望めません。
つまり、東京の林立する超高層ビル群が眼前に迫ってくるという絵面を期待するカメラマンにとっては決してベストの展望では無いということです。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)*
ただ、この眺望に何かの既視感を感じると思ったら、昔よく遊んだPCゲームのSimCityの画面に似ていると気づきました。SimCityとは、プレイヤーが市長となり更地を一つの大都市へと成長させていく箱庭型のシミュレーションゲームです。
ゲーム画面は都市を斜め上から俯瞰する構成となっていて、市長というよりも神の視点から都市を見下ろし、リアルタイムで都市が成長する過程を眺めて楽しむことができます。
時間の進む速度を変えることもでき、例えばゲーム時間の1ヶ月を現実の時間では1分で進むという風に設定すると、ニョキニョキと高層ビルが正に雨後の竹の子のように成長する姿を目の当たりにすることができます。
高層建築の多い東京では、もしも時間の進みを圧縮して街並みを俯瞰できる神のような存在がいれば、過去数十年に渡り繰り広げられた正にゲームのような光景を目撃したに違いありません。
ここ東京スカイツリーは、そんな神の視点を垣間見ることのできる稀な場所として、今後更にその重要性を増していくと思います。とどまるところを知らず拡大を続ける東京という都市を一望できる定点観測の場所としては、これ以上の立地は他に無いのかもしれません。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
今回の旅で持ち出したレンズは50mmと28mmの2本のみ。スカイツリーの展望台から迫力ある高層ビル群の絵を撮るためには、最低でも100mm以上の望遠レンズが必要になります。
ここに掲載する写真もトリミングを施し見かけ上の望遠効果を出しています。ただ、この日の天候は晴れですが若干の薄曇りで決してシーイングはベストでは無く、鑑賞に堪えうる画像の拡大にも限界があります。
*のマークの付いた写真はトリミング加工ありです。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)*
はるか遠方に”横浜ランドマークタワー”のシルエットが見えます。この時はまだ、まさか今日この日にその場所に向かうとは全く考えていませんでした。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
丸の内方面の高層ビル群が”塊り”となってしまいます。それはそれで迫力ある景観だと思いますが、もう少しビル群がばらけてくれた方が絵面としては面白いものになると思います。
そう考えると、バンコクのバイヨークスカイの展望フロアは周辺の高層ビル群を適度にばらけた状態で俯瞰でき、絶妙の立地にあると感じます。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
”東京スカイツリー”が出来たことで東京という都市の新たな視点を得たことは、単に電波塔として機能すること以上に大きなメリットとなると私は考えます。
どういうことかというと、都市の発展というものはそこに暮らす住人の希望の総意であって、ここに新たな視点を得たことで今までとは異なる街のあり方(固い言い方をすれば、都市設計)を模索する上でのヒントを得るきっかけになると思うからです。
誰しも自分の暮らす街に対し、もっとこんな街になってほしいという漠然とした希望は抱くと思います。しかし、そこに具体的な都市設計の概念を持ち出す人はあまりいないかもしれません。
でも、行政に携わる人達や建築業に関わる方達ならば、恐らくはこのスカイツリーからの眺望を見たその瞬間に、東京という都市の次なる発展の段階を模索し始めたのではないか、私はそう思います。
むしろ都市設計に何らかの形で携わる専門家であれば、その様な思考の持ち方は絶対不可欠であるとさえ思います。
過去100年に渡り、”東京はこうあって欲しい”という無名の人達の希望があり、それを具体的なものへと変えていく専門家たちと、実際に現実のものとする資本家たちが他の都市とは比べるまでもなく大きなスケールで集った結果、今の東京という都市が形作られたのだと思います。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
下の写真2枚は50mmのレンズで撮影しトリミング加工は施していません。
35mm判カメラで50mmレンズの画角は人間の視野角とほぼ同じと言われていますので、ここに映し出されている絵が実際の目視の光景であると言えます。やはり街が”遠く”感じます。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
今回の撮影で痛感したのは、パノラマ写真を撮るにあたり手持ち撮影で水平を出すのが困難であることです。超高度からの撮影としては先日のバイヨークスカイに続いて2回目の経験で、できる限り水平線に水平になるように奮闘したのですが、水準器も無しではやはり限界がありました。
ただ、下の写真は大きく傾いていることが逆に浮遊感を表現しているようで、それはそれでアリだと思います。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
ちなみにスカイツリーまでの道のりは上野駅→地下鉄銀座線→浅草駅→東武伊勢崎線を経由して来ました。よって浅草や両国といった東京の下町も近く、国技館や江戸東京博物館、そして隅田川沿いの有名なアサヒビールの建物も大きく視界に捉えることができます。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)*
スカイツリーの影。巨大な日時計と言っても良いです。下の写真の学校と思しき建物に通う学生たちにとっては、スカイツリーの影の掛かり方で大体の時刻が判別できるかも? と勝手な想像をしてしまいました。
東京(eos5d2 ef50mm f1.4)
下の写真に映る右側の建物も結構な高層ビルだと思いますが、それと比較した影の大きさからもスカイツリーの巨大さが窺えます。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
じっと見ていると、影が本当に時計の針に思えてきます。
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
東京(eos5d2 ef28mm f1.8)
実はスカイツリーに来る前に、朝の歌舞伎町が見たいと思い新宿に寄っていました。しかし、私の記憶の中での歌舞伎町と違って汚物の匂いもしなければ生ゴミに群がるカラスの群れの姿も無く随分と小奇麗に変わっており、何故か少し残念な気分になりました。単にゴミ収集日の問題なのでしょうか?
あと新宿コマ劇場も無くなり新しい建物に建て替わっていて、そう云えばニュースでやっていたなと思い出したりもしました。あの辺りの雰囲気が割と好きだったので、それも少し残念です。
新宿コマ劇の跡地に建てられたシネコンで映画スターウォーズの新シリーズが上映されていましたが、1999年に封切られた当時の新3部作(アナキンシリーズ)の第1作目のエピソード1が公開された時も、この新宿でオールナイトで観たと思います。
当時「STAR WARS」のタイトルがスクリーンに現れた瞬間に観客が一斉に歓声を挙げた時は驚きました。ただ、感銘を受けたのは2回目の上映までで、映画館で一夜を過ごすことがこれ程苦痛とは思いませんでした。3回目以降は早く始発の時間にならないものかとイライラしたことが思い出されます。オールナイトで映画を見ることは2度と無いでしょう。
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