栄の街の人々
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
栄(eos5d2 ef28mm f1.8)
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
個人的な話で恐縮ですが、名古屋という街は私個人にとって特別な存在です。
私の母方の家系が東海地方に縁があり、現在も叔父と叔母が三重県内に住んでいるのをはじめ、従妹たちも愛知県や三重県内の各所に居を構えています。今回、名古屋に寄った際にお世話になったのも、私と年齢の近い従兄夫妻です。また私自身も、父の転勤で1歳の頃より大阪で暮らしていますが生まれは三重県四日市市の出身です。
そういったこともあり、物心つく以前から名古屋や近郊の都市には親に連れられてちょくちょく訪れました。そのため、自ずと名古屋という街に対し何かしらの意識をするようになったのでしょう。特に私は子供の頃から栄の街が好きで、初めて”都市”というものを意識したのも大阪ではなく栄の街並みに対してです。
子供の当時はあくまで直観で感じたことだと思うのですが、都会のど真ん中でありながら緑に溢れ安らぎを感じることができ、また人と人が自然に集うことのできる街、それが栄の街の魅力だと私は思います。
栄あるいは久屋大通という存在があることで、名古屋の街の真ん中に1本ドンと筋が通っている。そのような街は大阪には無いですし、恐らく東京にも繁華な街という意味においては少なくとも栄ほどの規模では無いのではないでしょうか。
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
-追記-
大阪には御堂筋や中之島があるじゃないかという意見もあるとは思います。確かに御堂筋も中之島も街の真ん中でありながら緑に溢れ非常に美しい空間です。ですが、栄のように人が自然と集う街かと言われれば、残念ながらそうではなく今はただ通り過ぎるだけの場所であるに過ぎません。
折角あれだけの景観を誇りながら一体何が足りないのか、私なりの見解はあるのですが敢えてここで述べることは控えようと思います。
ただ大阪の色んな立場の人間が、他力本願で受身の姿勢に甘んじることなく、自主性をもって自らの暮らす街を良くしようという心構えを持てば、その”足りない何か”は直ぐにでも解消されると私は確信しています。
それだけのポテンシャルは今の大阪にはまだ残されている筈です。私も大阪の人間として大阪に生きる全ての人間の声を代弁するならば、現状に対し漠然としつつも相当に鬱積した不満を抱いているでしょうから。
ただその不満はそろそろ飽和状態に至ろうとしていて、何らかの形で”今”を変えるブレイクスルーの道筋を真剣に考えなければ、大阪という街の経済面のみならず精神面においても地盤沈下を起こしかねない危険性を孕んでいるとさえ私は感じています。
高飛車な物言いであることは承知しています。ただやはり私は根っこから大阪の人間なのでしょう。今の大阪には正直なところ好きになれない部分もありますが、それ以上にジレンマというか見えない袋小路に陥っているようで歯痒さを感じざるを得ません。
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
名古屋には大学卒業後、子供の頃とは別の形で再び訪れ1年と少しの間、暮らすことになるのですが、そこで大きな挫折も経験しました。
その時は、もうこの街に来ることもないんじゃないかとさえ思いました。その後10年という歳月が経過して漸く訪れたのも自主的な動機ではなく、親族に不幸があった時です。
楽しい思い出もあれば苦い経験も数多くした、一言では言い表せない色々な感情を呼び起こさせる街、それが私にとっての名古屋です。
未だに過去の何かを引きずっているのでしょう。この街に足を踏み入れる時にはワクワクする気持ちと家に帰ってきた時のような安堵感、そして押し潰されるような苦しい気持ちが絡み合った複雑な感情が心に押し寄せてきます。
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
女性の写真が続くように見えますが、それは偶然です。決して狙った訳ではありません。
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
ひとしきり栄の街を堪能した後、晩御飯を食べようと思い名古屋では数少ない馴染みの店のある場所へ移動しようと一旦は地下鉄に乗ったのですが、ここで思い直し再び栄に引き返します。(少し考えてから行動すればよいだけの話ですが)
栄でクリスマスイブの晩にゆっくりしようと思えば、私の知る店はただ1店のみ。数えてみると、なんと約17年ぶりの”jazz inn lovely”です。
店の前まで来てハタと考えたのが、明日から東京で3日間過ごすにあたりどれだけお金が掛かるか判らないのに今ここで大枚を叩いていいものかどうか。しかし店の中からは濃密な女性ジャズボーカルの声が漏れ聴こえてくるし、お腹も空いたし喉も乾いている。ライブ料金は4,200円、、イブのライブとしては決して高額でないことにも肩を押され、これも旅の醍醐味とばかりに玄関扉を開けて店内に入りました。
夜も更けたと思っていましたがこの時期は単に日が短いだけで夜は始まったばかり。演奏もちょうど1曲目の途中だったらしく、ちょうど良いタイミングで店に入ることができたようです。店内は意外と客は少なく、それでも周りは老若のカップルばかりでしたので、私は一人カウンター席に座り簡単な食事とビールとワインを貰って演奏に聴き入りました。
演奏は素晴らしく、久方ぶりにプロのジャズマンによる熱の入った演奏を間近で聴くことができました。昼はyuriで本格オーディオでジャズを聴き、夕暮れ時には地元女子学生のクリスマスコンサートに遭遇し、晩はjazz inn lovelyで本物のジャズ演奏のライブに酔う、、これ以上ないクリスマスイブを過ごすことができ、旅の初っ端から幸先がいいなあと素直に感激しました。
下の写真はライブ演奏後にお店のスタッフの方達と記念撮影をしているのを見て、スッと割って入って撮らせてもらった1枚です。左から、ユキ・アリマサ(piano)、チャリート(vocal)、中村健吾(bass)、ジーン・ジャクソン(drums)
栄(eos5d2 ef50mm f1.4)
余談になりますが、携帯電話の電池が切れそうになったのでバーテンのお兄さんに充電をお願いしたら快く聞き入れてくれました。翌日、宿泊先のホテルを視界に捉えたところで電池が切れ、この時のバーテンさんの厚意がなかったら危ない所でした。
教訓として、宿泊先のホテルの地図は事前にプリントアウトしておくことと、特に夜行列車や夜行バスに乗車する際は予備電源の携帯は必須であることを学びました。
この後、10時半頃に店を出て名駅を目指します。夜行列車の出発時間は11時20分。栄は夜が早いのか賑やかだった街は幾分ひっそりとしていました。ここで焦ったのが、地下鉄に乗ろうとするも地下街への出入口が既に閉鎖されているではないですか。夜行に乗り遅れる! 結局、オアシス21横の地下鉄専用の昇降口から地下に降り、東山線経由で名駅に辿り着いて事無きを得ました。
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