ご無沙汰しています。
公私ともにバタバタとした状況の中、暫く筆をとる(というか、考えを纏める)時間を割くことが出来ませんでした。約ひと月ぶりの投稿となります。
メゾン松原の経営状況について
2015年2月現在、メゾン松原では2室の空室があります。全19戸しかない賃貸マンションにとってはそれだけで空室率10%(年間)を超える厳しい数値です。
メゾン松原は2011年1月~2014年12月の間、平均して年間で1戸の新規入居と退去を繰り返し、4年連続で入居率98%以上を達成しました。この数値は、いかなる不動産会社とも専属契約を結ばない賃貸マンションとしては、恐らく輝かしい成績だろうと思います。
しかし、それは決して偶然によるものではありません。
①我々経営者陣の弛まぬ経営努力による部分と、②メゾン松原の経営や建物の維持に関してお力を借りている全ての方々の協力、③そして何よりメゾン松原を住いとして選びお使い頂いている住人の皆様のお蔭に依るものです。
②③は経営者側から見た場合他力によるものですから説明は割愛させて頂きますが、①に関しては2011年以降の4年に限らず、およそメゾン松原の竣工当初からより優れた住環境を実現すべく様々な改革を敢行してきました。
その内容については本ウェブサイトの本編ページ(見本帖)やギャラリーページ(写真集)に記載しておりますのでご覧下さい。どこまでも手前味噌な物言いで申し訳ありませんが、近年高い入居率を達成した陰には決して偶然ではない経営者自らの努力と工夫があるのです。
しかし現在、2室の空室があります。世間一般の賃貸住宅経営の水準からみれば大したことのない状況と思われるかもしれませんが、我々の様な零細の個人経営者にとっては大変な痛手です。
たとえば、①の内容の一つとしてメゾン松原は住人へのサービスが厚いことが挙げられますが、実施には当然費用が掛かります。限られた予算の中で身銭を切る思いで費用を捻出している中、元手となる収入が大幅に低減することはサービスの低下に直結します。
また、この松原市という悲しいかな魅力の乏しい土地で新規に顧客を獲得する(=新規入居者を獲得する)ことが如何に困難なことかは個人事業者、とくに小売業やサービス業の方なら等しく痛感することだと思います。
メゾン松原 北側 2014 春(eos5d2 ef17-40mm)
不動産業界に願うこと
まず思うのは、賃貸物件における不動産市場は「不完全市場」であるということです。私は経済学は門外漢ですので文献からの受け売りですが「不完全市場」とは端的にいうと一部の大企業が市場を独占または寡占の状況に追い込み、価格を事実上左右することです。
また不動産業で扱う商品は建物や土地であり、多くの個人にとって住居としての不動産を複数もつ(または借りる)ことはあまり無いでしょうから、他の業界以上に特定地域での(つまり松原市内での)パイは厳格に決定します。
そういう状況ですから、上記のようにどこの不動産業者とも専属契約を結ばない我々の様な個人経営者は、新規顧客獲得の手段が不動産仲介業者に依存せざるを得ない状況下に置かれている(※)という意味において、常に生活基盤を失うリスクにさらされています。
※この様な状況の第1の弊害として、(ネット上や店頭で公開される)物件情報が画一的な内容に制限されることで物件の持つ本来の魅力が全く紹介されず、本来見込まれるはずの需要(新居を探している側)と供給(住空間を提供する側)の邂逅が阻害されることが挙げられます。
事実、メゾン松原に入居されている方の中には、市内の不動産屋さんで住まいを紹介して貰ったが希望に見合う物件が見つからず、その後に自分の足で歩いて回った結果、メゾン松原を探し当て入居されたという方が複数いらっしゃいます。
メゾン松原はどことも専属契約を結んでいないと書きましたが、それは「専属」の話であって、どこの不動産会社とも取引はさせて頂いています。
実際、経営者自ら(私のことですが)が営業に回り自作の紙資料(メゾン松原を端的に紹介したリーフレット)を松原市内・周辺の不動産業者の各お店にお渡ししています。また、口頭や書面での説明が難しい内容については、本ウェブサイトを是非見て頂きたいということも事あるごとにお伝えしています。
上記のようなことが1度ならず2度3度と重なると流石に色々と邪推したくもなりますが、不動産会社には不動産会社の都合というものもあるのでしょう。詳しくはここでは書きません。
ですが、①不動産事業を興した個人経営者が多大な経営上ののリスクを背負いながら建物を維持していること、②また自らの事業に対し誠心誠意向き合い奮闘している個人事業者も存在していること、この2点に関してだけは他ならぬ不動産会社の方達には理解して頂きたいと思うのです。
自らの立ち位置は己で築き己で守るものであることは承知しているつもりですが、個人でできる経営努力にも限界があります。幅広く支店を持つ企業にとってみれば、成績が芳しくない、あるいは経営が危ういとみれば特定地域からの撤退という選択もあるのでしょうが、我々個人経営者にとってその選択は、余程のことが無い限りあり得ません。
現況のままでは互いのチキンレース(価格競争)の中で共倒れになる個人経営者が続出するのではないでしょうか。切迫した会計を強いられる中、土俵際で踏ん張っているというのが現在の状況です。
不動産を商売道具とする我々個人事業者にできることは、自らの責任の範囲内でできる最大限の工夫を施すことのみです。すなわち”快適で安全な住環境を提供すること”この一点に集約されます。顧客の斡旋(新規入居者の募集)という不動産事業の云わばスタートラインに於いては無力な存在であり、不動産会社の皆様のお力にすがるより他に選択肢はありません。
確かに”ウェブサイトの公開”や”リーフレットの配布”などの形でポートフォリオを作製し物件の特徴をアピールする手段はあるものの、事実上の無名の存在である賃貸物件にとって不特定多数の顧客を獲得する手段には残念ながら現在のところ成り得ません。
偉そうな物言いになって大変申し訳なく思いますが、不動産会社の皆様にはどうか自らの責任をご理解頂き、松原市全体の不動産業界を広い視野を持って守り育てて頂きたいと願っています。
その”責任”をどのように解釈するのか。単に経済活動の延長と捉えるか、あるいは互いに共存し地域の発展に寄与する重要な役割の担い手と考えるか、それは皆様個人の判断に委ねるしかありません。
本当に偉そうで手前味噌な表現で申し訳ありませんが、私はメゾン松原という場所から、(残念ながらマイナーなイメージしかない)松原市の発展に貢献したいと考えています。現在のところ未だ微力ではありますが、実践の中で模索を続けています。
メゾン松原 西側 2014 春(eos5d2 ef17-40mm)
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